
大神「ウィツァルネミテア」を奉じる宗教国家にして、国家間の「調停者」を名乗る神官一族の美姫姉妹、ウルトリィとカミュがトゥスクルに来訪する話。
翼を持つ一族は、どうやらこちらでいうところのバチカン市国(ローマ教皇庁)や国連に近い役割を持つ国家を形成している様子。
ベナウィの台詞から推測するに、大神ウィツァルネミテアはこの世界ではかなりメジャーな宗教であり、それを司るウルトリィたちの国はかなりの信仰と畏敬を集める大国であることが窺える。
本来ならムントのみが使者として赴くところをやや強引に割り込んで随行してきたウルトリィには、ただ新国家に友好を説きに来た他にも何やら別の思惑がありそう。
ただ彼女が慈愛に満ちたキャラクターであることは劇中の描写にも明らかであり、不穏な謀略の類とは無縁にも見える。今はただ、ハクオロたちの人品を見定めるに留めているようだが、さてはて……?
で、打って変わって妹姫のカミュは天真爛漫を絵に描いたようなお嬢さん。
可愛いトラブルメーカーとして、今話のほのぼの展開を一手に引き受けている。
後半では彼女がアルルゥとなんとかして打ち解けようと悪戦苦闘する過程が描かれ、ユズハも加えた妹3人組が一気に打ち解けて行く様子が大変微笑ましい。
ただ彼女の陽気さとは裏腹な黒い翼がなにやら意味ありげでもあり、後々の重要な伏線となってきそう。
平時におけるオボロたちの様子もコミカルに描かれ、皆生き生きとしている。
政務をサボるハクオロに眉を顰めて静かに怒るベナウィ、同じ武官であるオボロと事あるごとに張り合おうとするクロウ等、脇役男性陣の描写もキャラクターをよく掴んだもので、抜かりなく面白い。
木陰で安らかに眠るアルルゥたちを見たハクオロが感じた通り、今話はハクオロたちが戦いの末に得た失いたくない平穏を強く視聴者に印象づけるお話。
ただ、この手の戦記モノにおける平和描写とは、往々にして後の無残な戦禍との落差を大きく演出する為に描かれることも多く……剣呑、剣呑。