2006年05月31日

「うたわれるもの」 第8話「調停者」


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 大神「ウィツァルネミテア」を奉じる宗教国家にして、国家間の「調停者」を名乗る神官一族の美姫姉妹、ウルトリィとカミュがトゥスクルに来訪する話。

 翼を持つ一族は、どうやらこちらでいうところのバチカン市国(ローマ教皇庁)や国連に近い役割を持つ国家を形成している様子。
 ベナウィの台詞から推測するに、大神ウィツァルネミテアはこの世界ではかなりメジャーな宗教であり、それを司るウルトリィたちの国はかなりの信仰と畏敬を集める大国であることが窺える。

 本来ならムントのみが使者として赴くところをやや強引に割り込んで随行してきたウルトリィには、ただ新国家に友好を説きに来た他にも何やら別の思惑がありそう。
 ただ彼女が慈愛に満ちたキャラクターであることは劇中の描写にも明らかであり、不穏な謀略の類とは無縁にも見える。今はただ、ハクオロたちの人品を見定めるに留めているようだが、さてはて……?

 で、打って変わって妹姫のカミュは天真爛漫を絵に描いたようなお嬢さん。
 可愛いトラブルメーカーとして、今話のほのぼの展開を一手に引き受けている。
 後半では彼女がアルルゥとなんとかして打ち解けようと悪戦苦闘する過程が描かれ、ユズハも加えた妹3人組が一気に打ち解けて行く様子が大変微笑ましい。
 ただ彼女の陽気さとは裏腹な黒い翼がなにやら意味ありげでもあり、後々の重要な伏線となってきそう。

 平時におけるオボロたちの様子もコミカルに描かれ、皆生き生きとしている。
 政務をサボるハクオロに眉を顰めて静かに怒るベナウィ、同じ武官であるオボロと事あるごとに張り合おうとするクロウ等、脇役男性陣の描写もキャラクターをよく掴んだもので、抜かりなく面白い。

 木陰で安らかに眠るアルルゥたちを見たハクオロが感じた通り、今話はハクオロたちが戦いの末に得た失いたくない平穏を強く視聴者に印象づけるお話。
 ただ、この手の戦記モノにおける平和描写とは、往々にして後の無残な戦禍との落差を大きく演出する為に描かれることも多く……剣呑、剣呑。


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2006年05月26日

「うたわれるもの」 第6話「集う力」 第7話「皇都侵攻」


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 ハクオロたち反乱軍が快進撃の後、新国家トゥスクルを建国するまで。

 とにかくこの2話内における合戦描写が白眉。
 なにせモブ(群集)シーンで同じ動きをしているものがほとんどいないという力の入れよう。
 これは昨今の深夜向けTVアニメとしてはドエライ労力&クオリティー。
 普通なら演出として省略したり、誤魔化したりしてしかるべきところを、ガッツリ動かして見せている為、実に見応えのある画面になっとりました。
 
 が、その反面、皇都陥落の際のドラマ描写には少々物足りなかった面もあり。
 それまでの展開で盛り上げた感情の受け皿としては、各々の決着の描かれ方が少し淡白だった印象。
 敢えてストイックな演出を志向するところがこの作品の美点の一つとはいえ、そこいら辺はもう少し欲張ってやってもよかったかも。
    
 ヌワンギはこの大河ドラマ展開の中、エルルゥの慈悲深さに救われて退場。
 小悪党らしいドラマチックな散り様すら与えられず、ただ放逐されて表舞台からフェードアウトという、ある意味殺されるよりも遥かに残酷な別離。
 エルルゥが去り行く彼の背中にたった一言だけ告げた別れの言葉、「さようなら」に込められた意味は重い。

 そんなエルルゥも次第に近寄りがたくなっていくハクオロとの距離にどこか不安げ。
 6話のラストで槍の狭間から覗くハクオロの姿が、なにやら象徴的。

 ああ、あとクロウの無骨な忠義者っぷりも味があってよかった。
 ヌワンギを締め上げるシーンとか、不貞腐れてたのをエルルゥに諭されるシーンとか最高。
 今後は似たもの同士であるオボロとの凸凹コンビで楽しませてくれそう。  

 そして最後の最後まで最高に見苦しい死に様を晒してくれたインカラ皇、マジでおつかれさんっしたー!
 いやー、本当に痛快なまでの愚帝っぷりでしたなぁ! お見事!
 演じていた大川透氏も実に楽しそうでした。嫌にゃも、嫌にゃもー!

 最後に次回からの新展開を窺わせる翼人の新キャラクターたちが登場して〆。
 ハクオロたちが築いた新国トゥスクルにとって、はたして如何なる運命の使者となるのでしょうか?
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2006年05月18日

ファミコン版「Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)」

 TVアニメ化も決定し、最新単行本5巻の発売も来月に控え、ますます盛り上がる「パンプキン・シザーズ」!

 今日はなんとその幻のファミコンゲーム版を大紹介!
 非常にマイナーなゲームだった為、今までその存在を知らずに過ごして来たファンも多いことでしょう。
 今回、幸いにも近所の某ゲーム店で82円という泣ける値段で投げ売りされていたものを無事確保することに成功!
 かつてその異常な難易度に泣きながらロムカセットを叩き割るファミっ子が続出したという、このゲーム。
 今となっては貴重な、そのゲーム画面の数々を特とご覧あれ!




 シンプルなタイトル画面。
 プレイヤーはまず最初にオーランド伍長かアリス少尉のどちらかを自機として選択し、過酷な戦場に挑む。




 当時としては非常に珍しいステージデモ。
 微妙なドット絵で描かれた伍長とアリス少尉が実にナニ。




 ゲーム本編は縦スクロールのアクションゲーム。
 ガニ股でヒョコヒョコと横移動するアリス少尉がステキ。
 なお、伍長は戦車を一撃で破壊できるドアノッカー貫通弾を発射できるかわりに連射&移動速度が遅く、アリス少尉は戦車を10回攻撃しないと破壊できないかわり、攻撃&移動速度が伍長の2倍という特徴あり。
 ちなみに画面の敵は「第1の大剣(クレイモア・ワン)」隊員。
 残念ながら副長氏はゲームに登場せず。




 伍長対戦車戦。
 なお、伍長は赤い敵を倒すとまれに落としていく蒼いランタンを3つ取ることで、一定時間無敵の「901ATTモード」が発動!
 アリス少尉の場合は隊章3つで双剣メーネ&脚甲装備の「切り裂きし者Lモード」が発動だ!




 ゲームクリアの果てに拝める幻のエンディング。
 発売当時でもこの画面を拝めた者は少ないであろう、まさにレア中のレアシーン。
 ステッキン曹長とマーキュリー号が画面中央を延々と走る中、スタッフロールが次々と流れていく。
 ちなみに何故かカラオケ機能付き。




 更にこのゲーム、なんとMSXにも移植されていた!




 さすがにこちらはファミコン版と比べると色々と貧弱。
 でもこの色数の少ないスプライトで構成された画面がなんともノスタルジー。

 さて最後に。
 この記事はアニメ化&5巻発売間近を記念して勢いで作ったネタ記事です。
 つまり一から十まで真っ赤な嘘!
 これらのゲームはこの世のどこにも存在しないので、早まって講談社などに問い合わせ等したりしないよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。
 剣呑、剣呑。
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2006年05月11日

「うたわれるもの」 第5話「森の娘」


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 占領したササンテの屋敷を砦へと改修し、朝廷からの軍勢に対抗しようと準備を始めるハクオロたち。
 今回は嵐の前の静けさからか、割とほのぼのとしたエピソードから開幕。

 エルルゥ、アルルゥ姉妹、ここぞとばかりに魅力全開。
 アルルゥ、すでに完全にハクオロを父親代わりとして信頼しきっており、だだ甘えモード。年相応の無邪気な振る舞いが愛らしい。
 エルルゥも今まで通りの慈愛に満ちた態度はもちろんのこと、砦からの避難を勧められてもハクオロの側を離れようとしない意外な芯の強さ(頑迷さ?)や、締めるべきところはバシっと締めるアルルゥ&ムックルへの態度など、そのリアクションの数々がなかなかに魅力的。
 
 神獣の末裔であるムックルは、この短期間で恐ろしく急成長。
 やはりただの獣ではないってことで。
 ただし、その内面はまだ赤ちゃんか、よくてもワンパク盛りのイタズラ坊主といった塩梅で、母親代わりであるアルルゥはおろか、その姉であるエルルゥにも頭が上がらない様子。
 親譲りの頑強無比な体躯とは裏腹に、その振る舞いはどこかユーモラス。

 ベナウィはやはり暗君の愚政を憂うと同時に、賊軍の長であるハクオロの器量をも推し量っていると見受けられる行動がチラホラと。
 ただ、頑ななまでに己の信じる武士道に殉じるタイプにも見受けられ、その胸中はいささか複雑。

 ベナウィに戦の大義を問われたハクオロとて、それは同じこと。
 貧しくとも平和に暮らしていた村人たちを血塗られた戦いの日々へと導いてしまったことを強く自覚し、その罪の重さをもしっかりと受け止めていた様子。
 無邪気に自分たちの正義を信じていたオボロに比べ、やはり大人。
 もっとも、そんなオボロにだけ自らの苦悩の一端を吐露してみせたのは、彼の持つ素直で一本気な気性を好ましく思っていたからなのかもしれませんが。

 そして今回は一連の作画がドえらいクオリティの高さで実に眼福。
 特にオボロの突撃から始まる対ベナウィ戦の痛快さは、筆舌に尽くしがたいものあり。

 あ、あと話の本筋から言えばどうでもいいことこの上ないですが、僕らのヌワンギくんの頭上に煌々と死兆星が輝き始めました。
 いいぞ、この三下一番星がッ! もっとやれ!
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2006年05月06日

「うたわれるもの」 第3話「紫琥珀」 第4話「戻れぬ道」


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 不幸な事故と折からの圧政に対する不満が重なって、ハクオロたちは国に対して決起せざるをえない状況に。
 それは二度と後戻りのできない戦いの始まりでもあった。

 3話は初登場であるオボロとユズハ兄妹の動向に注目が行きがちですが、その一方、とにかくトゥスクルがいかに清濁併せ呑む大きな器量の持ち主で、周囲から信頼と尊敬を集める存在であったのかを丁寧に描いていたのが印象的。
 この描写がそのまま続く4話における彼女の喪失がいかに(劇中人物たちにとって)大きな事件であり、村人たちが決起するきっかけ足りうるのか、という説明にもなってたように思います。
 また、このトゥスクルの確かな存在感は、演じていたベテラン声優、京田尚子さんの演技力によるところも大。
 命の灯火が消える間際に見せた孫たちへの深い情愛と、それまでのトゥスクルの生き様すら感じさせる臨終の演技はさすがの一言。

 またなにかと直情的で後先考えずに行動してしまうオボロの登場により、ハクオロの大人な側面がより強調され、互いの魅力を引き出しあっていたのもナイス。
 本来なら少年漫画の主人公にはオボロのような発展途上の若者こそが据えられ、その成長劇に焦点が当てられることが多いと思うのですが、今作の場合は最初からよくできた大人であるハクオロの方が主役に据えられているというのが新鮮で面白いところ。

 そして今は敵対する立場にある侍大将ベナウィの登場。
 独自の信念に基づき冷静沈着に行動する優れた武士(もののふ)であり、激情に任せて行動しがちなオボロとはこれまた好対照。
 今後、ハクオロたちの前に立ち塞がる最初の壁となりそうですが、さて……?

 あとヌワンギの抜き差しならない小物っぷりがもはや世界を狙えるクラスにまでパワーアップしていて、さりげに素晴らしかったということも特記しておきたい。
 その調子で今後も野に咲く花のように輝いていてほしいとかなんとか。
posted by dynamite at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 爆弾パンチ郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする