2007年10月25日

「Pumpkin Scissors」第30話&第31話 雑感

 月刊移籍後初の大長編「カルッセル」編も、ようやく終わりが見えてきました。
 今までのタメが長かった分、大きなカタルシスを期待したいところ。


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2007年10月13日

「デス・プルーフ」(クエンティン・タランティーノ監督)
「プラネット・テラー」(ロバート・ロドリゲス監督)


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 海外では「グラインドハウス」の名で2本同時上映されたタイトルですが、こちらではそれぞれ単独上映という形式になっちまいました。
 まぁ、当然のようにどちらも観に行ったわけですが。

 場末の名画座で2本同時上映されてるような、いかにもな安物映画を再現しようという酔狂な企画。
 わざとセックス&バイオレンスが売りのエクスプロイテーション映画っぽく撮ってるのがミソ。
 いかにも古いフィルムみたいなエフェクト加工を施したり、素っ頓狂なボリューム変化する劇伴を被せたりする演出なんかは、「キルビル」なんかでも既にやってましたな。

 ボンクラ映画大好きな当方なんかは、色々と思い出と笑いのツボを押されまくりで愉快千万だったのですが、スタッフロールが始まった途端に超早足で上映会場から立ち去って行ったあのOLのお姉さんは、ひょっとしたら怒っていたのかもしれん。
 特に「デス・プルーフ」が、ああいう終わり方した後だったし。

■デス・プルーフ

 不気味な殺人スタントマンが耐死仕様(デス・プルーフ)のモンスター・カーを武器に、小生意気なビッチどもを片っ端から轢殺していくという典型的なスラッシャー映画。
 ただし、前半までは。

 劇中ほとんどが、女同士の心底どうでもいい会話に費やされているというのがスゴイ。
 これがまたやたらと生々しい会話だらけで、とてつもないビッチ感。
 タランティーノ監督は、やっぱりこの手のバッドガールズを描かせると抜群に上手いなー、と。

 スタントマン・マイクに敢えてあのカート・ラッセルを配役しているのも絶妙。
 おかげで後半からの展開が抱腹絶倒モノに。
 つーか、ぼくらのスネーク・プリスキンになんてことさせやがる!

 で、挙句の果てがあのエンディングですよ。
 思わず声出して笑ってしまったので、こちらの負けだ! くやしい! 

■プラネット・テラー

 こちらは軍事利用目的で開発された化学兵器の事故が原因で、田舎町がゾンビの巣窟に! という、これまた典型的なゾンビ映画。
 ただし、サバイバルする連中が揃いも揃って一筋縄ではいかない変人ばっかなので、どんどん素っ頓狂なアクション映画にシフトして行くというのが、いかにもロドリゲス風味。

 「デス・プルーフ」ではたいそう可哀想なことになってたローズ・マッゴーワン姐さんが、こちらでは片脚マシンガンの女傑になってて大爆笑。
 つーか、なんだその無理矢理な勇姿は! カッコよすぎる!

 あと謎の男エル・レイの正体に関する一連のやりとりが、いわゆるマクガフィンを使った高度なギャグになってて大変面白ろうございました。
 あれだけ犬猿の仲だった保安官が掌返したように謝りだすとは、一体何者だったのだろうか?
 くそー、あんな不幸な事故さえなければー(←限りなく棒読みで) 

 やっぱりロドリゲス監督の作品は、これくらい無茶やってこそ光り輝きますやね。
 久々の快作だったのではないでしょうか?

 でも正直言うと、偽予告編でやってた「マチェーテ」の方が万倍観たかったつーか、なんつーか。
 そして、今更あのワイルドな豪傑が「スパイキッズ」シリーズのマチェット叔父さんと同一人物だったと知って大驚愕。
 若い頃は随分とヤンチャしてらしたんですね、叔父様。

 しかし、やっぱアレですやね。
 多くの方々が指摘していた通り、何かと快適なシネコン施設なんかでこの映画を観てると、つくづく倒錯した楽しみ方してるなぁ、なんてしみじみと。
 こっちだと天六ホクテンザか新世界国際劇場なんかで観るのが、正しい鑑賞法のはずだよネ!
posted by dynamite at 00:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 爆弾パンチ郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月11日

「パンズラビリンス」(ギレルモ・デル・トロ監督)


panslabyrinth.jpg
 スペイン内戦下、過酷な現実に耐えながら、不思議な幻想世界に誘われる少女、オフェリアの物語。
 どこまでも哀しく、故に美しい異形のおとぎ話。

 メキシコ出身の気鋭、ギレルモ・デル・トロ監督による、大人のダーク・ファンタジー。
 デル・トロ監督というと当方にとっては「ブレイド2」を監督した我が心の現人神の一柱であらせられるわけですが、ハリウッドでのメジャーな仕事としては「ヘルボーイ」なんかの方が通りがいいのかしらん?
 そういったエンタメ系アメコミ映画職人としての側面とは別に、スペイン内戦下の孤児院を舞台としたもの哀しい幽霊譚「デビルズ・バックボーン」みたいな叙情性あふれる作品をも手がけてしまう才気も見せていたデル・トロ監督、ここに来て素晴らしい傑作をモノにした印象。
 海外ではほぼ1年前に公開されて、その噂だけは方々で聞いていた為、こちとら観たくて観たくて仕様がなかったわけですが、やっと日本でも上映されたよ!

 デル・トロ監督お得意のフェティシズム溢れる映像美とエグさ満点の怪奇性は今作でも健在。
 オフェリアが試練の過程で受ける様々な仕打ち……キモい虫やらエグい怪物やらゲロい粘液やらが織り成す悪夢のような地獄絵図と、それらに健気にも立ち向かう美少女の画はまさに倒錯美の極み。
 いやはや、ホントにいい趣味してますよね、デル・トロさんってば。

 ですが、それら幻想世界の怪物などより、オフェリアの義父・ビダル大尉の方がよっぽど残酷で恐ろしいという、このアイロニーに満ちた構図。
 拷問大好きなサディストにして、自らの正義を信じて疑わないファシスト軍人。
 オフェリアの世界を脅かす恐怖と現実の権化にして、残酷な大人の世界の体現者。
 彼女が夢見ていた平穏は、この怪物的な義父によって、徹底的に破壊されていくのであります。
  
 が、しかし。
 時として美しい幻想は、どんな醜い現実をも凌駕する。
 デル・トロ監督はパンフレットに記載されたインタビューの中ではっきりとこう答えています。
 幻想と現実は等価値であり、結局、最後に勝利したのはオフェリアの方だった、と。

 どんなに辛く無情な現実も、ついに彼女の内に咲く小さな白花を散らす事はできなかったのだ。
 いや、ホント、美しいフェアリーテイルだ。
posted by dynamite at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 爆弾パンチ郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする