
0番地区壊滅を目論むロンダリオの企ては、アリス少尉と伍長、そして「回転草の兄弟団」たちの活躍によって未然に防がれた。
憂国の士であるロンダリオも、アリス少尉が命懸けで示した「答え」とアベルが持ちかけた闇取引によって、ひとまずはその苛烈な謀略の矛先を収め、事態は収束へと向かう。
誰が何を得て、何が失われたのか? すべては暗黒街の闇の中。
そして遂に始まる「西方諸国連盟合同会議」
百鬼万怪蠢く陰謀劇の幕開けはすぐそこに。
はたして帝国の行く末は?
復興の兆しに沸く帝都を舞台に、数多の希望と絶望が交差する。
他、技術開発班が誇る我らが女傑ウェブナー中尉とマーチス准尉の初めての出会いを描く幕間劇「歯車の出会い(Gear Box)」を収録!
伍長の知られざるルーツに迫る「0番地区編」もついに完結。
ロンダリオとアベル、互いに目的の為なら手段を選ばぬ二人の、静かに火花散らすやり取りが痺れます。
特に非情な男でありながら、一本芯の通った信念を持つロンダリオの不敵さはなかなかに魅力的。
また、伍長と「不可視の9番」を巡るミッシング・リンクも、ここにきて大分見えてきた感じ。
インターバルで示された疫病の正体……「キルヒ1号」が耐性検査薬だったという事実。
はたしてそれは何に対する「耐性」の検査薬だったのか?
903が用いていた恐るべき戦術毒「キルヒ3号」すら、その副産物でしかなかったというのか?
カウプラン機関の抱える闇は、まだその端緒すら窺えぬほど、昏く、深い。
ウェブナー中尉がいかにして技術整備班の姐御として君臨するに至ったかというのを描く「歯車の出会い」も、ウェブナーという女性の在り様を魅力的に描いていてよろしいなぁ。
この掌編を読むと、どうにも噛み合わない歯車を心に抱えて生きていたウェブナーという名のギア・ボックスが、マーチス准尉という小さな歯車によって完成したというのがよくわかります。
野郎、いっそのことモゲてしまえばいいのに!
そして遂に今までの主要人物総進撃な「西方諸国連盟合同会議」編がスタート!
久々登場「銀の車輪結社」を始め、大国ローデリアの可憐な末姫セッティエームなども再登場。
帝国の行く末を左右する大きな舞台の裏で、様々な陰謀の胎動が描かれます。
それにしてもローデリア王家のアレさ加減ときたら、こちらの想像以上でしたな!
王様からしてアレて。
あからさまに毒婦な第1王女プルミエさんも、言動諸々がもはや少年誌のそれじゃねぇ!
セッティエームが今後、この合同会議でどのような役割を果たすのか、大変興味深いところ。
「崩壊序曲」という副題で始まったこのエピソード、はたしていかなる帰結を見るのか?
今後の展開に要刮目!