2007年10月11日

「パンズラビリンス」(ギレルモ・デル・トロ監督)


panslabyrinth.jpg
 スペイン内戦下、過酷な現実に耐えながら、不思議な幻想世界に誘われる少女、オフェリアの物語。
 どこまでも哀しく、故に美しい異形のおとぎ話。

 メキシコ出身の気鋭、ギレルモ・デル・トロ監督による、大人のダーク・ファンタジー。
 デル・トロ監督というと当方にとっては「ブレイド2」を監督した我が心の現人神の一柱であらせられるわけですが、ハリウッドでのメジャーな仕事としては「ヘルボーイ」なんかの方が通りがいいのかしらん?
 そういったエンタメ系アメコミ映画職人としての側面とは別に、スペイン内戦下の孤児院を舞台としたもの哀しい幽霊譚「デビルズ・バックボーン」みたいな叙情性あふれる作品をも手がけてしまう才気も見せていたデル・トロ監督、ここに来て素晴らしい傑作をモノにした印象。
 海外ではほぼ1年前に公開されて、その噂だけは方々で聞いていた為、こちとら観たくて観たくて仕様がなかったわけですが、やっと日本でも上映されたよ!

 デル・トロ監督お得意のフェティシズム溢れる映像美とエグさ満点の怪奇性は今作でも健在。
 オフェリアが試練の過程で受ける様々な仕打ち……キモい虫やらエグい怪物やらゲロい粘液やらが織り成す悪夢のような地獄絵図と、それらに健気にも立ち向かう美少女の画はまさに倒錯美の極み。
 いやはや、ホントにいい趣味してますよね、デル・トロさんってば。

 ですが、それら幻想世界の怪物などより、オフェリアの義父・ビダル大尉の方がよっぽど残酷で恐ろしいという、このアイロニーに満ちた構図。
 拷問大好きなサディストにして、自らの正義を信じて疑わないファシスト軍人。
 オフェリアの世界を脅かす恐怖と現実の権化にして、残酷な大人の世界の体現者。
 彼女が夢見ていた平穏は、この怪物的な義父によって、徹底的に破壊されていくのであります。
  
 が、しかし。
 時として美しい幻想は、どんな醜い現実をも凌駕する。
 デル・トロ監督はパンフレットに記載されたインタビューの中ではっきりとこう答えています。
 幻想と現実は等価値であり、結局、最後に勝利したのはオフェリアの方だった、と。

 どんなに辛く無情な現実も、ついに彼女の内に咲く小さな白花を散らす事はできなかったのだ。
 いや、ホント、美しいフェアリーテイルだ。


posted by dynamite at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 爆弾パンチ郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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